長引く咳
咳が1~2週間以上続く場合、単なる風邪による咳の他に、気管支炎や肺炎、特殊な菌(マイコプラズマや百日咳など)による感染症などを考える必要があります。
また3週間以上、咳が続く場合は、喘息、咳喘息、アトピー咳嗽(アレルギーによる咳)、鼻炎や蓄膿(副鼻腔炎)から後鼻漏(鼻水がのどにたれこむこと)が起こることで出る咳、逆流性食道炎による咳(胸やけやみぞおちの痛みを伴うことが多い)、がんや胸水による咳など様々な病気を念頭に置き、診療を行う必要があります。
咳が長引く場合や治療を受けているけれども咳が良くならない場合はご相談ください。
喘息
喘息とは、アレルギーなど様々な要因が引き金となって気道(空気の通り道)に炎症が起き、それにより気管支が狭くなって空気の出し入れが困難になり、呼吸が苦しくなる病気です。大人になって初めて喘息になるかたも多くいます。
次のような方はご相談ください。
- 咳や痰が長引く、息をすると「ヒューヒュー、ゼーゼー」と音がする、息苦しい、といった喘息を疑う症状がある方
- 喘息の治療を受けていて治療を継続したい方や、治療を受けているけれどもすっきり良くならないので治療方法を相談したい方
- 喘息の原因となるアレルギー物質の検査(採血検査)を受けたい方
喘息の治療で使用する主なお薬には以下の7種類があります。当院では、病状やこれまでの治療経過を踏まえ、これらのお薬を適切に組み合わせ、治療を行っています。
- 吸入ステロイド;お薬を吸い込むことで、気道に直接お薬が届き、炎症を抑えます。飲み薬のステロイドと比較し副作用も少なく安全に使用できます。
- 吸入気管支拡張薬;お薬を吸い込むことで、狭くなった気管支を広げ、呼吸をしやすくします。即効性はないがじんわり長く効くタイプのものと即効性はあるが短時間しか効果が続かないタイプのものがあり、使い分ける必要があります。
- 吸入ステロイド・吸入気管支拡張薬の合剤;上記の(1)と(2)の成分が1つに合わさったお薬で、両方を同時に使うことで有効性が高まります。喘息の治療で最も大事なお薬の1つになります。このお薬を使って、喘息発作の予防と発作が出た時の速やかな対処を行うSMART(スマート)療法は、特に有用性が高く、当院でも実施しています。SMART(スマート)療法の説明動画
- ロイコトリエン拮抗薬;喘息の原因となるアレルギー性の炎症を抑える飲み薬です。これだけでも効果が得られることがありますが、吸入薬に併用することで有効性がより高まります。花粉症などのアレルギー性鼻炎にも有効です。
- テオフィリン製剤;気管支を広げる内服薬です。上記の(1)~(4)に加え、補助的に使います。
- Th2サイトカイン阻害薬;喘息の原因となるサイトカイン(IL-4、IL-5)の産生を抑えるお薬です。花粉症などのアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎にも有効です。上記の(1)~(4)に加え、補助的に使います。
- ステロイド(内服);喘息の治療薬のなかで最も有効性が高いお薬です。しかし、長期間使用すると様々な副作用が出やすいお薬なので、必要なときに限り十分量をしっかり使い、短期間で少しずつ減らして終了するようにします。
咳喘息
喘息のように「ヒューヒューゼーゼー」といった音はしない、息苦しさもないかあっても軽度だが咳だけが長引く場合、咳喘息の可能性があります。咳喘息の治療も喘息に準じます。咳喘息を放置しておくと、喘息に移行していく可能性が高くなるため、咳が長引く場合は治療を受けることが勧められています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群が発症する要因は主に2つ。ひとつは閉塞型で、喉の周辺における空気の通り道が塞がることで呼吸が一時的に停止する状態です。原因としては、首の周囲に脂肪がたくさんついている、舌や扁桃、口蓋垂が大きい、あごが小さい、といったことが考えられます。このほか、アルコールの摂取や喫煙、睡眠薬の服用なども影響します。
もうひとつは、呼吸中枢の異常です。これは脳からの呼吸指令が出なくなる状態です。この場合、肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経に異常はみられませんが、呼吸指令が出ないことで無呼吸になります。なお、呼吸中枢の異常によるSAS患者は全体の数%で、大半は閉塞型です。
いびきのほか、中途覚醒、不眠、疲労感、日中の強い眠気、起床時の頭痛などがみられたらSASの疑いがあります。症状をそのまま放置すると、高血圧や不整脈、糖尿病、脂質異常症、心不全、脳卒中、うつ病などを引き起こす原因にもなります。
いびきがうるさいと言われた、疲労感がある、日中に強い眠気が生じる、不眠である、朝起きると体が重たいといった症状のある方は、一度当院にてご相談ください。